【完結】遺族の強い希望により
「他にもあるんだろ、俺に隠してたこと」
そう言った亮の目は、軽い冗談とか、雑談まじりに思い出話をしようという目ではなかった。
「なんのこと――」
「下手に隠すから、おかしなことになるんだよ」
それは食事の前にも聞いた言葉だった。
その時は、玲奈の家の話をしていたはずである。
下手に隆司の死の状況を隠したせいで事が大きくなり、更に悪くなったと。
今は違う。
それくらいは、みのりにも理解出来た。
痛いくらいに強い動悸が、彼女の胸を圧迫していた。
テーブルが沈黙している間にウエイトレスがやってきて空いた皿を下げていったが、みのりはそれすら気付かなかった。
夕食時で込み合っていた店内の雑音も全て消えてどこかに行ってしまった。
今この空間には自分と亮しか存在しないように彼女は感じていた。
逃げ場がない。
この状況で決定的な質問を投げかけられたら、隠してきた事実を洗いざらい喋ってしまいそうだった。
そう言った亮の目は、軽い冗談とか、雑談まじりに思い出話をしようという目ではなかった。
「なんのこと――」
「下手に隠すから、おかしなことになるんだよ」
それは食事の前にも聞いた言葉だった。
その時は、玲奈の家の話をしていたはずである。
下手に隆司の死の状況を隠したせいで事が大きくなり、更に悪くなったと。
今は違う。
それくらいは、みのりにも理解出来た。
痛いくらいに強い動悸が、彼女の胸を圧迫していた。
テーブルが沈黙している間にウエイトレスがやってきて空いた皿を下げていったが、みのりはそれすら気付かなかった。
夕食時で込み合っていた店内の雑音も全て消えてどこかに行ってしまった。
今この空間には自分と亮しか存在しないように彼女は感じていた。
逃げ場がない。
この状況で決定的な質問を投げかけられたら、隠してきた事実を洗いざらい喋ってしまいそうだった。