【完結】遺族の強い希望により
暗く淀んだ闇の中に引きずり戻される。
一歩外に出ることが出来たから、このまま順調に前に進めるなんて甘いことを考えていたわけではない。
だがそうなりたいと望んだはずなのに、それはひと時の夢だった。
夢は簡単に醒める、たった一瞬で。


「ああ……そういうことか」


沈黙を破ってみのりが口を開いた時、亮は何か信じられないものでも見ているかのような顔をした。
今自分がどんな暗い目で歪んだ自嘲を浮かべているのか、みのり自身には分かりようがない。


「セックス中毒者と、久しぶりにしてみたくなった? それとも変な病気移されてないか心配になった? 大丈夫、性病ってのはガセだから。今からでもいいよ別に、亮がしたいんなら」
< 210 / 450 >

この作品をシェア

pagetop