【完結】遺族の強い希望により
◆
「みのりちゃん、新歓コンパ聞いた? 講義の後ちょっと時間空くから、一緒に時間潰して行こうよ」
亮に突然の別れを言い渡されて、暗い気持ちのままスタートした新生活だった。
何か新しいことでも始めれば忘れるのも早いかと思い、みのりは大して興味もないテニスサークルに入っていた。
つれなくしているのにしつこく声をかけてくるこの成瀬という男が、自分にある種の好意を抱いていることには薄々気が付いていた。
――まだそんな気分になれないよ。
新しい恋こそ、失恋を忘れる一番の近道であることは分かっている。
相手はサークルの先輩で、悪い人ではないようには感じていた。
背が高く、切れ長の目は笑うと弧を描くのが印象的だった。
話せば快活で話題も豊富だし、一緒にいて相手を飽きさせない。
サークル内でも信頼を集めているようで、成瀬はまだ2年生だが副会長を務めていた。
今のところ胸がときめくようなざわめきはないが、時間をかけてお互いを知って行けばいずれは好きになれるかもしれない人物だった。
亮に突然の別れを言い渡されて、暗い気持ちのままスタートした新生活だった。
何か新しいことでも始めれば忘れるのも早いかと思い、みのりは大して興味もないテニスサークルに入っていた。
つれなくしているのにしつこく声をかけてくるこの成瀬という男が、自分にある種の好意を抱いていることには薄々気が付いていた。
――まだそんな気分になれないよ。
新しい恋こそ、失恋を忘れる一番の近道であることは分かっている。
相手はサークルの先輩で、悪い人ではないようには感じていた。
背が高く、切れ長の目は笑うと弧を描くのが印象的だった。
話せば快活で話題も豊富だし、一緒にいて相手を飽きさせない。
サークル内でも信頼を集めているようで、成瀬はまだ2年生だが副会長を務めていた。
今のところ胸がときめくようなざわめきはないが、時間をかけてお互いを知って行けばいずれは好きになれるかもしれない人物だった。