【完結】遺族の強い希望により
この時2人が一緒にいるところを、誰かに見られていたらしい。

みのりにとって運が悪かったのは、それが成瀬の熱狂的なファンである上級生の耳に入ったことだった。
成瀬を追って同じサークルに入り時間をかけて攻略を進めてきたその上級生にとっては、いきなり成瀬を新入生にさらわれるのは確かに面白い話ではなかったのだろう。


サークルの上級生の一部から嫌がらせをされている、とみのりが感じ始めたのはそれからしばらく経った後である。

その頃にはもう特に成瀬と個人的に親しくもしておらず、彼の方でも脈が無いと踏んだのか、入学当初ほど積極的には声をかけてこなくなっていた。
そのため、突然始まった嫌がらせと成瀬の件をみのりが繋ぎ合わせて考えることはなかった。

加えてこの頃体調を崩しがちだったみのりはサークル活動にはほとんど顔を出しておらず、サークル内で起こる実害もないようなほんの些細な嫌がらせなど、どうせ一過性のものだろうと大して気にも留めていなかった。
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