【完結】遺族の強い希望により
「もしかしたら、大学にはその内来れなくなるかもしれません。でも決してあの噂のせいじゃないので、成瀬さんはそんな風に気にしないでくださいね」

そう言った時、みのりは確かに笑っていた。
心無い噂は痛くないわけではなかったが、それでも彼女はその時、前を向いて笑っていられた。


その時の言葉の通り、その後何週間もしない内にみのりは大学へ行くことが出来なくなった。
正確に言えば正式に退学の手続きをしたのはもっと大分後になってからのことだが、彼女自身は通学を辞めたその時が大学生活の最後だったと思っている。


だがそれは、みのりが予期していたのとは全く異なる辞め方だった。
いずれ辞めることになるかもしれない、という予想をしての発言だったが、みのりが思っていたのよりもずっと早く、そして全く違う形でその予想は現実となってしまったのだ。

前を向いて笑うことなど、もう二度と出来そうになかった。
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