【完結】遺族の強い希望により
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高嶋隆司の妻、美和子は、夫を迎えに来た病院の廊下で、呆然と立ち尽くしていた。
連絡を受けて取る物も取り敢えず出国し、気ばかりが焦って言葉もろくに通じないところを何とか辿り着いた先で、漸く夫との体面を果たした直後のことだった。
「こんなことになるなんて……奥様には何てお詫び申し上げて良いか。本当に申し訳ないことを……」
初めて会うその金髪の女性は、とても綺麗な日本語を話した。
大昔の短期留学程度で身に付けた語学力が例えそのまま残っていたとしても、ここまでは喋れないだろう。
その流暢な言葉が、彼女の長い人生の一端を物語っているようだった。
その金髪女性がジェシカなのだということは、相手が名乗らずともすぐに分かった。
彼女とその家族の存在――どのようにして出会ったのか、再会以降、渡豪する度に彼女たちとどのように過ごしてきたのかを、夫からは包み隠さずに聞いている。
写真も見たことがあるし、何より聞いていたイメージのままの女性だった。
ただひとつ、彼女が取った、土下座という異様な行動を除いては。
連絡を受けて取る物も取り敢えず出国し、気ばかりが焦って言葉もろくに通じないところを何とか辿り着いた先で、漸く夫との体面を果たした直後のことだった。
「こんなことになるなんて……奥様には何てお詫び申し上げて良いか。本当に申し訳ないことを……」
初めて会うその金髪の女性は、とても綺麗な日本語を話した。
大昔の短期留学程度で身に付けた語学力が例えそのまま残っていたとしても、ここまでは喋れないだろう。
その流暢な言葉が、彼女の長い人生の一端を物語っているようだった。
その金髪女性がジェシカなのだということは、相手が名乗らずともすぐに分かった。
彼女とその家族の存在――どのようにして出会ったのか、再会以降、渡豪する度に彼女たちとどのように過ごしてきたのかを、夫からは包み隠さずに聞いている。
写真も見たことがあるし、何より聞いていたイメージのままの女性だった。
ただひとつ、彼女が取った、土下座という異様な行動を除いては。