【完結】遺族の強い希望により
先を読み進めようとページを捲りかけた玲奈の手が、ふと止まる。
紙が戻ろうとする、妙な違和感があった。
開いているページの左側が妊娠に気付いた日、右側が出産の日だ。
何度も読み返したとも考えられる。
だからページにクセが付いていたとしてもおかしくはないが。
「……気が付いた?」
母は、玲奈がどのページを読んでいるのかをじっと見ていたのだろうか。
すっと横から手が伸びてきて、手帳の真ん中の折り目を真っ直ぐになぞっていった。
母の手のその動きによって、玲奈が感じた違和感の形が、くっきりと浮かび上がる。
「この間、全く日記を書いてなかったわけじゃない……ページが抜けてる」
紙が戻ろうとする、妙な違和感があった。
開いているページの左側が妊娠に気付いた日、右側が出産の日だ。
何度も読み返したとも考えられる。
だからページにクセが付いていたとしてもおかしくはないが。
「……気が付いた?」
母は、玲奈がどのページを読んでいるのかをじっと見ていたのだろうか。
すっと横から手が伸びてきて、手帳の真ん中の折り目を真っ直ぐになぞっていった。
母の手のその動きによって、玲奈が感じた違和感の形が、くっきりと浮かび上がる。
「この間、全く日記を書いてなかったわけじゃない……ページが抜けてる」