【完結】遺族の強い希望により
綺麗に切り取られていたから、パッと見ただけでは分からなかった。
だが、確かに母がなぞっていった部分には、ページが存在していた形跡がある。


「そこにあったものが、彼女が……ジェシカが隠したかった真実よ」

告げられた言葉に、玲奈はばっと顔を上げた。

「お母さん、見たの? それが手紙の中身!?」


「……ないそうよ、そのページは赤ん坊が生まれた時に破って捨ててしまったと言っていたわ。でも、あなたはその消えたページが無くてもきっと気が付く……。亮くんには、見ても分からなかったのかもね。お父さんも……男の人って、そうなのかもね」


母は笑っていた。
哀しいのか辛いのか、眉間にしわを寄せ眉尻を下げて、それでも笑っていた。
何故笑うのだろう、と、それは玲奈を泣きたくさせる笑顔だった。
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