【完結】遺族の強い希望により
立派な家構えだった。

それでいて過度に飾り立てた様な嫌味もなく、その辺りの住宅街にしては広めの庭は良く手入れされているのが外からも伺えた。

高い壁に隔たれることもなく通りから庭の向こうに見える大きな窓、その奥は恐らくリビングで、きっと普段はオープンなのだろう。

庭の手入れをしながら、或いはリビングで紅茶でも飲み寛ぎながら、この家の婦人が道行く人に会釈をする。
そんな絵が見えるような家だった。


庭に面した窓の内側は、厚いカーテンに閉ざされていた。

絵に描いたように優雅で幸せそうなその家は今、何か重たい、どんよりとした空気に包まれている。


――喪中の家というのは、どこもこうなのだろうか。
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