【完結】遺族の強い希望により
泣きながら話しているのは、16歳で隆司と出会い恋をした、その時のままの少女だった。
子どもがいて孫までいて、夫と同い年のその人は美和子よりも年上のはずなのに。
少女の心のまま、恋をしている。
奔放に、我が儘に、身勝手に――40年以上が経った今でも、情熱的に。
美和子は総毛立ったのを感じた。
執着とも言えるその想いの源は一体何なのだろう。
歪んでいる。
理解が出来なかった。
「夫を愛しているんですか、今でも」
問いかけにジェシカは答えようとしなかったが、認めたのと同じことだ。
眩暈がした。
「……夫と別れた後で、すぐに他の男との子どもを産んだくせに?」
嗚咽が聞こえた。
ジェシカは母国語で、何かを神に祈った。
呪われて然るべき悪行をした彼女に、いくら祈ったところで神が手を差し伸べるわけがない、と、美和子は冷えた心でそれを見下ろしていた。
子どもがいて孫までいて、夫と同い年のその人は美和子よりも年上のはずなのに。
少女の心のまま、恋をしている。
奔放に、我が儘に、身勝手に――40年以上が経った今でも、情熱的に。
美和子は総毛立ったのを感じた。
執着とも言えるその想いの源は一体何なのだろう。
歪んでいる。
理解が出来なかった。
「夫を愛しているんですか、今でも」
問いかけにジェシカは答えようとしなかったが、認めたのと同じことだ。
眩暈がした。
「……夫と別れた後で、すぐに他の男との子どもを産んだくせに?」
嗚咽が聞こえた。
ジェシカは母国語で、何かを神に祈った。
呪われて然るべき悪行をした彼女に、いくら祈ったところで神が手を差し伸べるわけがない、と、美和子は冷えた心でそれを見下ろしていた。