【完結】遺族の強い希望により
ジェシカが隆司の子を実際に妊娠していたことと、その胎児が無事成長を遂げられなかったことを聞かされたのはその後のことだった。


「リュウの子どもを取り戻したかったんです」

そう言われても、同情はするが理解は出来なかった。

父親は当時日本から留学で来ていた同級生で、その人もまた、ジェシカが身ごもったことは知らぬまま帰国したという。

日本人の血を引いた子は確かに産まれた。
だがその子に流れているのは隆司の血ではない。
それなのに。


「幸せでした。リュウが戻ってきたと」
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