【完結】遺族の強い希望により
――全然大丈夫。私、お母さんになるんだから。出産の痛みにも、ちゃんと耐えるから。
大事を取って、ということで、その日みのりはそのまま病院に入院することになった。
傷みも出血も引かなかったが、みのりはそれを母親になるための試練だと思って受け入れた。
用意されたベッドの隣に座った母が、ずっと手を握っていてくれた。
不安はなかった、何も。
その日の深夜、異物が産道を押し広げて通り抜ける激痛に、みのりは悲鳴ひとつ、呻き声ひとつあげなかった。
傷みに耐えて彼女が産んだのは亮の赤ん坊ではなく、妊娠の兆候として膨れ上がった子宮内膜――ただの、赤黒い塊だった。
大事を取って、ということで、その日みのりはそのまま病院に入院することになった。
傷みも出血も引かなかったが、みのりはそれを母親になるための試練だと思って受け入れた。
用意されたベッドの隣に座った母が、ずっと手を握っていてくれた。
不安はなかった、何も。
その日の深夜、異物が産道を押し広げて通り抜ける激痛に、みのりは悲鳴ひとつ、呻き声ひとつあげなかった。
傷みに耐えて彼女が産んだのは亮の赤ん坊ではなく、妊娠の兆候として膨れ上がった子宮内膜――ただの、赤黒い塊だった。