【完結】遺族の強い希望により
出てきた子宮内膜の中に、胎嚢は確認されなかった。
子宮外妊娠だったのかもしれない、だが断定は出来ない。
検査の結果、医者はそう説明した。


「悪い時は残留物を取り除く手術が必要になることもありますが、佐伯さんの場合はこのまま自然に排出されそうですね」

まるで運が良かったとでもいうような言い方だった。

難しい説明は全く頭に入って来なかったが、みのりが質問したのはただひとつだけだった。

「赤ちゃんはいなくなってしまったんですか?」

医者は少し斜めの返答をした。

「あなたはまた妊娠できる身体ですよ」


経過観察のためにこのまま翌日まで入院し、その後は1週間後に検査に来るようにと言われた。

母が一緒に泣いてくれた。
みのりが得たものは、それだけだった。
< 255 / 450 >

この作品をシェア

pagetop