【完結】遺族の強い希望により
「相手は亮くんだったの?」
娘の彼氏の名を、母は覚えていた。
正確に言えば元彼氏だが。
「報告しなきゃね……」
「いいよ、別に」
投げやりに答えたみのりに、母は驚いたようだった。
「亮は知らないの、赤ちゃんのこと。だから言わなくていい」
「……あんた、言ってなかったの?」
「だって別れたもん。迷惑でしょう?」
母はそれ以上、何も言ってこなかった。
家に戻ると、父はみのりの妊娠・流産について何も知らない様子だった。
産婦人科に突然入院したことは、外出先で酷い生理痛のために倒れて緊急検査入院になったと説明されていた。
内容が内容だけに、父からは詳しく追究されることもなかった。
娘の彼氏の名を、母は覚えていた。
正確に言えば元彼氏だが。
「報告しなきゃね……」
「いいよ、別に」
投げやりに答えたみのりに、母は驚いたようだった。
「亮は知らないの、赤ちゃんのこと。だから言わなくていい」
「……あんた、言ってなかったの?」
「だって別れたもん。迷惑でしょう?」
母はそれ以上、何も言ってこなかった。
家に戻ると、父はみのりの妊娠・流産について何も知らない様子だった。
産婦人科に突然入院したことは、外出先で酷い生理痛のために倒れて緊急検査入院になったと説明されていた。
内容が内容だけに、父からは詳しく追究されることもなかった。