【完結】遺族の強い希望により
「場所、変えようか」

「え……みのり?」

「謝りたいんでしょ? いいよ」

その謝罪とやらを聞こう。
みのりが聞いて、許す――その段取りが、この人には必要なのだ。


「もう少し静かで、人が見てないとこに行こう」

例え形式的に手順を踏むだけだとしても、人前で頭を下げる亮は見たくない。
そう思っての提案だった。


店を出る時に、支払いは亮が済ませた。
みのりは黙って奢られた。
彼が今はそうしたいだろうと思ったし、引きこもりは金欠だから、正直に助かる。


そう言えば彼が何のアルバイトをしているのかを聞きそびれたな、と頭の片隅で思っていた。
もう、どうでも良い事だった。
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