【完結】遺族の強い希望により
「……場所、」

「ああ、任せるよ」

短く単語だけを発して口ごもった亮の後を、みのりが引き継いだ。
だが行先を決めあぐねているのか、亮はなかなか動き出さなかった。


話の流れからさすがにそう勘違いはされていないだろうが、よくよく考えれば『静かで人が見ていないところ』に行きたいとは、2人きりになりたいと言っているようなものだ。
場合によっては甘い意味の言葉にもなるのだと気付くと、みのりはつい笑ってしまった。


「何、急に笑って」

「ううん。場所、困ってんのかなと思って。どこでもいいよホントに。ただここはちょっと、注目浴びちゃったからね」

「いや、場所は……――」


言葉は不意に途切れ、隣を見上げると眉の下がった顔に見つめられている。
亮の手が伸びてきて、頬に触れた。

「ごめん、さっき。叩いたりして」
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