【完結】遺族の強い希望により
吐いてない、と、最後まで否定の言葉が出ない。
喉元につかえたその言葉を外に出した瞬間に、堪えているものも一緒に出てきそうだった。

「なあ、俺のためとか思ってるんなら、お前全然分かってねえよ」

言葉が出ない代わりに、みのりは懸命に首を横に振った。
これ以上聞いたら決意が鈍る。
振り払ってでも立ち去らなければともがいた。

「なんでそんなに自分ばっかり責めてんの。俺のせいにしろよ。抱え込むなよ、半分こっちに寄越せよ」

亮の言葉が、閉ざした心を強く叩く。
ガンガンと響いて、軋んだ。
みのり、と何度呼びかけられても振り返ることも出来ないのに、立ち去るために一歩を踏み出すことも出来なくなっていた。

「みのり――、1人で決めないで。2人で考えよう」
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