【完結】遺族の強い希望により
2人で考える。
その言葉が、ひときわ大きくみのりの心を揺さぶった。

付き合っている間中ずっと亮に全てを委ねてきておいて、妊娠した時も決別を告げる時も、勝手に1人で大事なことを決めようとしている。
それが間違いなのか。

『俺たち、大事なこと何にも話し合って来なかったんだな』

レストランで彼が言った通りだ。
だからすれ違って、何度も間違えた。
また同じことを繰り返そうとしているんだろうか。

――でもそれじゃ、亮は幸せになれない。


亮が一方的に別れを告げてきたのも元を正せば彼を信じ切れなかった自分のせいだ。
流産に留まらず、そもそも妊娠したことだって原因は自分にあった。
責めろと、半分寄越せと言われても、原因を作ってきたのはいつだって自分の方だった。

重荷なのだ、自分が彼の傍にいること自体が。
元々釣り合ってなどいなかった。
亮が何を言おうと、やはりもうその優しさに甘えるわけにはいかない。

自分が悪いのだから。
自分が元凶なのだから。
一緒にいれば、彼を不幸にする。


手首が痛いほど強く掴まれていた。
それを全力で振り払うために、みのりは掴まれている方の手を振り上げた。
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