【完結】遺族の強い希望により
呼び鈴を押してから数十秒、ドアの内側に小さな物音がする。
すぐには開かない扉の真ん中に付いたスコープへ向け、亮が合図を送るかのように頷いて見せた。
それに倣い、みのりも小さく口を開く。
『玲奈』と、声には出さず、向こうから覗いているだろう彼女へ向けて呼びかけた。
静かにドアが開いた。
細い隙間から顔を覗かせた玲奈はまるで病魔に冒されたかのように青白く、目の下には彼女本来の優しい雰囲気を破壊する隈が広がっていた。
あまりの変わり様にみのりは息を呑んだ。
冷たい空気が喉の奥を刺激した。
ひりついて、声が出ない。
――乾燥、乾燥のせいだ。
ショックを受けたわけではない、と、乾いた空気のせいにしてみのりは動揺を宥めた。
すぐには開かない扉の真ん中に付いたスコープへ向け、亮が合図を送るかのように頷いて見せた。
それに倣い、みのりも小さく口を開く。
『玲奈』と、声には出さず、向こうから覗いているだろう彼女へ向けて呼びかけた。
静かにドアが開いた。
細い隙間から顔を覗かせた玲奈はまるで病魔に冒されたかのように青白く、目の下には彼女本来の優しい雰囲気を破壊する隈が広がっていた。
あまりの変わり様にみのりは息を呑んだ。
冷たい空気が喉の奥を刺激した。
ひりついて、声が出ない。
――乾燥、乾燥のせいだ。
ショックを受けたわけではない、と、乾いた空気のせいにしてみのりは動揺を宥めた。