【完結】遺族の強い希望により
なるほどジェシカの娘も孫も、隆司のことを肉親と思い込んでいる。
だから話をするのに邪魔だったというわけだ。
つまりジェシカは、この期に及んでもまだ真実を娘たちに話すつもりはないということなのだろう。

話は聞くだけ聞こう。
隆司の妻として、そこまでは全うする責任がある。
だが美和子が一度抑え込んだはずの怒りや不信感は、再び頭をもたげはじめていた。


遺族としてその場へ来ている以上、手続き等が全て美和子1人の肩にのしかかっている。
夫の突然死の悲しみに暮れている間もなければ、そのままジェシカの話を聞き続ける時間など当然ない。
また改めて、ということで、ジェシカとは一旦その場で別れるしかなかった。
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