【完結】遺族の強い希望により
産まれた瞬間から欠いていた家族の一部――父親。
エラにとっては当たり前のことだったそれが、物心つくにつれてふとした折に自分の欠陥のように感じられ、どこか不鮮明な不安を覚えていた。
結婚を間近に控えて幸せなはずなのに、ボーイフレンドが夫となった後、さらには子どもが出来れば父親となる姿がどうにも想像出来なくて苦しんでいた。
突然現れた隆司の存在は、エラのその不安を取り除き、満たし包み込んで余りあった。
エラにとってそれは人生で初めて感じた、心からの安息の時だった。
結婚から間もなく、エラは第一子を身ごもる。
そのことは母親から隆司にも伝えられ、海の向こうにいる隆司からは祝いが届けられた。
幸せの絶頂だった。
同封された手紙の内容を母から聞かされるまでは。
『隆司の奥様も漸く赤ちゃんを授かったそうよ。あなたの子と同い年……ひとつ上になるのかしら』
エラにとっては当たり前のことだったそれが、物心つくにつれてふとした折に自分の欠陥のように感じられ、どこか不鮮明な不安を覚えていた。
結婚を間近に控えて幸せなはずなのに、ボーイフレンドが夫となった後、さらには子どもが出来れば父親となる姿がどうにも想像出来なくて苦しんでいた。
突然現れた隆司の存在は、エラのその不安を取り除き、満たし包み込んで余りあった。
エラにとってそれは人生で初めて感じた、心からの安息の時だった。
結婚から間もなく、エラは第一子を身ごもる。
そのことは母親から隆司にも伝えられ、海の向こうにいる隆司からは祝いが届けられた。
幸せの絶頂だった。
同封された手紙の内容を母から聞かされるまでは。
『隆司の奥様も漸く赤ちゃんを授かったそうよ。あなたの子と同い年……ひとつ上になるのかしら』