【完結】遺族の強い希望により
『お祖母様は何も言わないけれど、隆司はママのお父様で、あなたのお祖父様よ』

『クロエ、お祖父様のことが好き? ママも好きよ、ずっと一緒にいられたら良いのに』

『お祖父様は日本の女に騙されてこちらで長く過ごすことが出来ないの。騙されているのよ、可哀相に』

『いつか必ず彼を助けてあげましょうね。日本の女から、隆司を取り戻すのよ』

『日本の女が隆司を私たちから奪ったのよ。隆司は優しいから口にはしないけれど、憎むべき人よ』

『お祖母様にもお祖父様にも言っては駄目よ。もしも向こうの女に気付かれるようなことがあったら、隆司は2年に一度もこちらへ来れなくなってしまうから』


クロエは幼い頃からエラに擦り込まれた。
日本にいる隆司の妻に対する憎しみと、隆司をいつか必ず助け出し奪い返すという考えを。

そしてクロエはエラの言いつけ通り、18年間その考えを隠し通してきたのだ。
12月24日早朝、その機会が訪れる瞬間まで。
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