【完結】遺族の強い希望により
細く目を開けて隆司の様子を見ていた。
向こうは水中にクロエの姿を見つけたようである。
一瞬慌てたようにそのまま水の中を進もうともがき、すぐに一旦海面に上がった。
位置と距離を確認し、潜るよりも泳いで近付く方が良いと考えたのだろう。
隆司が再び泳ぎ始めるのを確認して、クロエはまた彼との距離を詰めにかかった。
彼女が今度は先ほどまでよりも大胆に急いだのには理由があった。
彼は少しずつ自分が流されていることに気付いていないようである。
恐らく冷静さを欠いているせいもあるのだろう、たった今位置を確認したにも拘らず、水をかけばかくほどに彼は見当違いの方向へ向かっていった。
なんとかこちらから近付き、彼の手によって救出されなければならない。
この時まだクロエは、劇的な救出の後のハッピーエンドを思い描いていた。
水の中で少しずつ奪われていく体力も気にならないほどに、彼女の心は甘い夢の先に飛んでいた。
向こうは水中にクロエの姿を見つけたようである。
一瞬慌てたようにそのまま水の中を進もうともがき、すぐに一旦海面に上がった。
位置と距離を確認し、潜るよりも泳いで近付く方が良いと考えたのだろう。
隆司が再び泳ぎ始めるのを確認して、クロエはまた彼との距離を詰めにかかった。
彼女が今度は先ほどまでよりも大胆に急いだのには理由があった。
彼は少しずつ自分が流されていることに気付いていないようである。
恐らく冷静さを欠いているせいもあるのだろう、たった今位置を確認したにも拘らず、水をかけばかくほどに彼は見当違いの方向へ向かっていった。
なんとかこちらから近付き、彼の手によって救出されなければならない。
この時まだクロエは、劇的な救出の後のハッピーエンドを思い描いていた。
水の中で少しずつ奪われていく体力も気にならないほどに、彼女の心は甘い夢の先に飛んでいた。