【完結】遺族の強い希望により
「愛する祖父を助けるため――そういう大義名分が、クロエにはありました。取った行動は浅はかです。結果として死なせてしまった。そのことはもちろん彼女自身が悔いて、そして苦しんでいます。けれどクロエには大義名分がありました。彼女が辛うじて正気を保っていられるのは、そのためだと私は思っています……違いますか?」
問いかけは、美和子を責めているのではない。
ジェシカは答えを求めていた。
そして美和子は、違う、と即答は出来なかった。
「間違った大義名分を植え付けて来たのは彼女の母親……私の娘です。原因を作ったのは他でもない私なのだと、承知の上で申し上げます」
ジェシカはここで、すぐに自分の言葉尻を「いいえ」と訂正した。
申し上げる、ではなく、「お尋ねします」と。
「もしも2人が、死なせてしまったのが赤の他人だと知ったら……掲げてきたその大義名分自体が大きな誤りだったのだと知ったら……2人はどうなると、あなたは思いますか?」
問いかけは、美和子を責めているのではない。
ジェシカは答えを求めていた。
そして美和子は、違う、と即答は出来なかった。
「間違った大義名分を植え付けて来たのは彼女の母親……私の娘です。原因を作ったのは他でもない私なのだと、承知の上で申し上げます」
ジェシカはここで、すぐに自分の言葉尻を「いいえ」と訂正した。
申し上げる、ではなく、「お尋ねします」と。
「もしも2人が、死なせてしまったのが赤の他人だと知ったら……掲げてきたその大義名分自体が大きな誤りだったのだと知ったら……2人はどうなると、あなたは思いますか?」