【完結】遺族の強い希望により
母親であるエラも、クロエが取った行動が自分の教えに起因していると思い当たっているならば似たような心境なのかも知れない。
むしろ自分の娘がしたことに、親としてより一層の責任を感じている可能性もなきにしも非ずだ。

或いは大好きだった『父親』を殺されたと、自分を棚に上げて娘を逆恨みするようなことは――否、それはないだろう。
ジェシカの話から感じ取った限り、エラという人物は身内びいきに偏った主観で物事を捻じ曲げて捉えるきらいがあるようだ。
自分が教え込んだ考えに基づいた娘の行動を責めるようなことは、間違ってもしないだろう。


美和子はふと、病院でジェシカが言っていたことを思い出した。
エラは自分に会って話をしたがっていたようだ。
それをジェシカが強引に邪魔したらしい。

異国で夫を亡くした本妻とその地にある第二の家族という立場で考えた時、話というのは当然謝罪に当たる何かだと思い込んでいたが、そうではないのかも知れない。
エラという女は、ずっと自分のことを憎んできたのだから。
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