【完結】遺族の強い希望により
「大人になってから私が送った手紙は、全て奥様の目にも触れていると聞いております」
言われ、美和子は驚いた。
確かに、隆司と美和子が結婚した後に届いたジェシカからの手紙は全て――夫の言葉を信じるのならばだが、全て見せてくれていたはずである。
だが元恋人からの手紙の内容を妻に隠さずに全て見せていることを、まさか夫が本人に伝えていたとは思ってもみなかった。
「ご存知だったんですね、手紙を私も拝見すること」
「後から聞きました。はじめは知らずに……でも決して、奥様に見られても良い様にとやましいことを書かなかったわけではなく」
ジェシカはそう言って、缶の蓋を開けて見せた。
途端目に飛び込んできたのは、見慣れた夫の文字だった。
日本からのエアメール、中にはグリーティングカードのようなものも混じっている。
「日本に留学していたあの短い期間の後、再会しても私たちの間には何も起こらなかったのだと……これで、信じていただけるかは分かりませんが」
「あの人が……あなたに書いた……?」
はい、と、ジェシカは小さく呟くように答えた。
言われ、美和子は驚いた。
確かに、隆司と美和子が結婚した後に届いたジェシカからの手紙は全て――夫の言葉を信じるのならばだが、全て見せてくれていたはずである。
だが元恋人からの手紙の内容を妻に隠さずに全て見せていることを、まさか夫が本人に伝えていたとは思ってもみなかった。
「ご存知だったんですね、手紙を私も拝見すること」
「後から聞きました。はじめは知らずに……でも決して、奥様に見られても良い様にとやましいことを書かなかったわけではなく」
ジェシカはそう言って、缶の蓋を開けて見せた。
途端目に飛び込んできたのは、見慣れた夫の文字だった。
日本からのエアメール、中にはグリーティングカードのようなものも混じっている。
「日本に留学していたあの短い期間の後、再会しても私たちの間には何も起こらなかったのだと……これで、信じていただけるかは分かりませんが」
「あの人が……あなたに書いた……?」
はい、と、ジェシカは小さく呟くように答えた。