【完結】遺族の強い希望により
とん、と、胸が静かに鳴った。
闇に堕ちたあの時からずっと、心臓は締め付けるように軋むか叩きつけるように暴れるか、そうでない時は死んだように鳴りを潜めるばかりだったのに。
久しぶりに感じているのはときめきだ。
後ろめたい事など何もなく、ただ真っ直ぐに彼に恋していたあの頃と同じときめきだった。
去年は口に出さずに交わした次の約束を、彼は今回ははっきりと言葉にしてくれた。
大事なことを何ひとつ話さずにすれ違ってしまった過去を悔いた2人の、これから共に歩く道を体現してもらったような気がした。
「次、いつ? 来年? それとも、明日?」
わざと質問を重ねるみのりを楽しむように、亮は額を合わせたまま、鼻の頭同士を擦りつける。
「明日か。それもいいな」
触れあう鼻の頭が、距離が、空気がくすぐったくてくすくすと笑いあった。
「けど……」
「――え?」
闇に堕ちたあの時からずっと、心臓は締め付けるように軋むか叩きつけるように暴れるか、そうでない時は死んだように鳴りを潜めるばかりだったのに。
久しぶりに感じているのはときめきだ。
後ろめたい事など何もなく、ただ真っ直ぐに彼に恋していたあの頃と同じときめきだった。
去年は口に出さずに交わした次の約束を、彼は今回ははっきりと言葉にしてくれた。
大事なことを何ひとつ話さずにすれ違ってしまった過去を悔いた2人の、これから共に歩く道を体現してもらったような気がした。
「次、いつ? 来年? それとも、明日?」
わざと質問を重ねるみのりを楽しむように、亮は額を合わせたまま、鼻の頭同士を擦りつける。
「明日か。それもいいな」
触れあう鼻の頭が、距離が、空気がくすぐったくてくすくすと笑いあった。
「けど……」
「――え?」