【完結】遺族の強い希望により
両肩を掴まれ、ぐっと身体を起こされる。
離れた額と鼻先が途端に冷えて、心細さを感じた。

急に真剣味を帯びた亮の眼差しに、みのりは不安を感じながら息を呑んだ。


「簡単に許されるとも思えないけど、ちゃんとするから」

「……なんの、話?」

「――明日も明後日も、来年も再来年も、ずっと一緒にいられるように必ずする……って話」


心配するなとでも言うように、不安に瞳を揺るがすみのりの頭にぽんと手が乗せられた。

みのりは目を細める。
お伽噺のように簡単にハッピーエンドを迎えられるものではないことは、恐らく彼よりも自分の方が、身に染みて良く分かっている。
みのりの時間はあの時から、ずっと止まったままだったのだから。


「帰ろう、送ってく」

「え、もう?」
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