【完結】遺族の強い希望により
「見たんでしょう、ネットの中傷……」


漸く泣き止んだ玲奈からのその質問に、なんと答えるべきなのか分からずにみのりは目を泳がせた。

外に出ない内に喋り方も忘れてしまったのだろうか。
ろくなことを言ってやれそうにない自分を呪いながら、僅かに隣の人に期待を抱いていた。


――また、亮に頼ってる……。

酷い自己嫌悪がみのりを襲った。


亮と2人で玲奈を助けに来たつもりだ。

今玲奈へ差し延べられるべき彼の手を、奪うつもりか。
玲奈へ差し延べるべき自分の手で、彼女への救いの手を横取りするつもりか。

それなら初めから来るべきではなかった。
何をしに来た? と、みのりは自分に問う。
背負い切れない重荷で自分も一緒に溺れるくらいなら、いない方がマシだ。
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