【完結】遺族の強い希望により
傷に触れる覚悟はなかったのか?
ただのひやかしや義理だったか?
偽善者ぶりたかっただけなのか?


――違う。私は玲奈を、救いに来た。


「その前に――何か飲んだ方がいいよ、玲奈。干乾びちゃう」


この子のどこにあれだけの水分が残っていたのだろう、と不思議になるくらい泣いた後だ。
カサカサに乾燥した肌に残る涙は、そこに潤いを与えるどころかさらに奪っていくように見える。

その跡をそっと拭ってやりながら言うと、どこかほっとしたように玲奈は笑った。
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