【完結】遺族の強い希望により
呆然とした父の腕からはだらりと力が抜けていった。
その代わりに血相を変えてみのりの両肩を掴んだのは亮だった。
「なんてこと言うんだお前、ご両親の前だぞ! どんな事情があったってそういうのは男の責任なんだよ、黙って俺のせいにしとけよ! 聞かされる親の気持ち考えろよ……っ!」
父も母もじっとそのやり取りを聞いているのに、先ほどまでとは打って変わって取り乱した亮は大声を張り上げた。
だがみのりも負けていなかった。
肩を掴む亮の腕を掴み返して「だって」と叫ぶ。
「亮が言ったんじゃない、2人で考えようって! どっちも悪くないなんて嘘。どっちも悪かったでしょ!?」
「やめろよ、お前は何も悪くなかったって何度も言っただろ。俺だよ、全部俺のせい」
「亮こそやめてよ! 1人で背負いこむなって、亮が教えてくれたんじゃない……っ」
1人で抱え込んではいけない。
けれどそれは、全部を押し付けるのとは違う。
『どっちも悪くなかった』――その言葉は確かにみのりの心を救ったが、甘えた綺麗事に過ぎない。
逃げずに、非はどちらにもあったのだと、お互いに認めなくては。
『痛み分けする?』
亮だって本当は分かっているはずだった。
あの時は恐らくみのりのことを思って、淋しそうに笑いながら『嘘だよ』と打ち消したけれど、本当は。
その代わりに血相を変えてみのりの両肩を掴んだのは亮だった。
「なんてこと言うんだお前、ご両親の前だぞ! どんな事情があったってそういうのは男の責任なんだよ、黙って俺のせいにしとけよ! 聞かされる親の気持ち考えろよ……っ!」
父も母もじっとそのやり取りを聞いているのに、先ほどまでとは打って変わって取り乱した亮は大声を張り上げた。
だがみのりも負けていなかった。
肩を掴む亮の腕を掴み返して「だって」と叫ぶ。
「亮が言ったんじゃない、2人で考えようって! どっちも悪くないなんて嘘。どっちも悪かったでしょ!?」
「やめろよ、お前は何も悪くなかったって何度も言っただろ。俺だよ、全部俺のせい」
「亮こそやめてよ! 1人で背負いこむなって、亮が教えてくれたんじゃない……っ」
1人で抱え込んではいけない。
けれどそれは、全部を押し付けるのとは違う。
『どっちも悪くなかった』――その言葉は確かにみのりの心を救ったが、甘えた綺麗事に過ぎない。
逃げずに、非はどちらにもあったのだと、お互いに認めなくては。
『痛み分けする?』
亮だって本当は分かっているはずだった。
あの時は恐らくみのりのことを思って、淋しそうに笑いながら『嘘だよ』と打ち消したけれど、本当は。