【完結】遺族の強い希望により
語学担当の教師何人かは、交代で父と同行してオーストラリアへ渡っていたらしい。
あちらの学校で短期間日本語の特別授業を行うためだ。

それは母の予想に過ぎなかったが、彼らがもしジェシカたち家族とも会ったことがあれば、エラやクロエの黒髪から隆司との関係を疑う者もいてもおかしくないと。


加えて、両国の学校関係者間でも情報のやり取りがあったとすれば、隆司が搬送された時クロエが一緒だったことも知られている。

それらの事前情報が揃っているところへ、死の状況を濁す美和子の電話が入ったら――。


「学校側は私たち家族に配慮してくれたんだと思うのよ。どこで情報が歪んであんな風に伝えられたのかは分からないけど、実際真実を聞く前も……今も、やっぱり私は、詳しいことは他人に知られたくないと思っているし」


あなたはどう？　と探るように見つめられると、玲奈は言葉に困った。
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