【完結】遺族の強い希望により
隠すことで、父の名誉が傷つけられているのは間違いなかった。
少なくとも『淫行教師』などという謂れない中傷は言いがかりだと釈明したい。


だって父は被害者じゃないか。
明言こそされなかったのかもしれないが、血の繋がった娘、孫だと騙されていたのだ。

それだけでも許しがたいことなのに、その上父は赤の他人とも知らずに――知らなかったからこそ文字通り命を賭してその少女を助けたのに、溺れたのは父の気を引くための演技だったと言うのだ。
これを不運な事故で片付けられるのか。


事実を知らされたら彼女たちが正気でいられない?
玲奈の知ったことではなかった。
庇う必要がどこにある。
彼女たちこそ世間に曝され、罵倒され、粉々に壊されてしまえばいい。

だって向こうが加害者じゃないか。
だってこちらは被害者じゃないか。
何故世間に罵られたのはこちら側で、こちらが向こうを守るために口を閉ざさないといけないのだ。
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