【完結】遺族の強い希望により
「私苺!」

真っ先に叫んだのはみのりだ。
玲奈も同じく苺が好物で、それを狙っていることを知っていての主張だ。
不服そうに「えーっ」と声をあげる玲奈にウインクを飛ばした。

「お前、自分で持ってきといて先に選ぶのかよ」

と亮が呆れて突っ込むと、負けじと言い返す。

「だって私があれ食べたくて選んだんだもん!」


洋菓子店のショーウィンドウの一角に、そのガラス製の器は並んでいた。
透明感のある色とりどりのフルーツゼリーにはそれぞれ果肉がたっぷりと含まれていて、表面にも果実と生クリームのトッピングが花を添えて可愛らしい。
一目惚れだった。

店頭で『絶対これ!』とみのりが主張した時、亮は少し驚いた顔をした。
それを見て首を傾げたみのりは気付いていない、ずっと亮の前では控えていた自己主張をいつの間にか出来るようになっていることに。
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