【完結】遺族の強い希望により
「……そういうのはもう、結構ですから。お話、というのは」

みのりの父がいつまで経っても何も言わないので、母親の方がそう言って頭を上げさせた。


「見てやってください」

立ち上がった亮の父親が、息子を引っ張り上げた。
みのりの父が彼にしたよりもずっと乱暴なやり方で、みのりのみならず全員が思わず息を呑んだ。


初めて会った際にも見せられていたみのりには、これから何が起こるのか容易に想像できた。
亮は黙って歯を喰いしばり、目をぎゅっと瞑った。
みのりの父に手を上げられた時には逸らさなかった目を閉じたくらいだから、彼はどこを殴られるのか初めから知っていたのかもしれない。


骨同士のぶつかる固い破裂音と共に、亮は身体ごと吹き飛んで倒れた。
衝撃で口の中も切ったのか、微かに血が散った。
ふらりと身体を起こすまでに少し時間がかかった。
軽い脳震盪も起こしていたかもしれない。
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