【完結】遺族の強い希望により
みのりの中で、点と点が繋がり線になった。
あの日お茶を淹れさせられた意味が、漸く理解できた。
亮があの時礼を言った意味も。

ではあの時から母は、こうなるかもしれないと予想していたのだろうか。


ふん、と不機嫌そうにみのりの母が鼻を鳴らした。

「急場凌ぎで、あんな程度」

母親として娘に教えるべきことは沢山あるのに、実際に教えることが出来たのはたったひとつだけだ。
母はそのことが不満のようだった。

「あんなもの」と、更に虫の居所が悪そうな父が被せる。


「普段からあんな手間をかけさせるんじゃない。逃げ出したくなるだろう。うちの娘はお前が思っている以上の根性なしだぞ」

みのりと亮は、その言葉に目を見合わせた。
分かりづらい言い方だが、認めてくれたように聞こえた。
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