【完結】遺族の強い希望により
父は海岸にいた。
そこには女の子もいた。
2人がたまたまそこに居合わせたのか一緒にいたのか、その他にも誰かがいたのかは分からない。
女の子が――例えば、海に溺れた?
それを父が助けた、が、結果父だけが死亡。


事実だけをかき集め組み立て直した筋書は、下手に隠し事さえしなければ、どこにもやましいことなどないように思えた。
人命救助の末の事故死だ、むしろ称えられてもおかしくない。
にも拘らず、隠さなければならないのは何故なのか。


考え疲れた頃に再び電話が鳴って、母からだと思い込んだ玲奈は急いで飛びついた。


『淫行教師に天罰が下された』


電話はすぐに切れた。
通話終了の機械音がいつまでも鳴り続けていたが、耳に残ったのは冷たい声と嘲笑だけだった。

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