【完結】遺族の強い希望により
みのりと亮に話しながら、玲奈は何度か取り乱した。

焦点の合わない目や震える拳を見せられる度にみのりは背中を擦ってやり、玲奈は言葉を詰まらせたり急に話が飛んだり戻ったりを繰り返しながらも説明を続ける。


「クリスマスイブだったのよ」

と、また唐突に話の方向が変わった。
それが玲奈の父親が亡くなった日だということは、みのりも亮もすぐに理解した。


「パパはいつだって良いパパだった」

お父さん、とさっきまでは呼んでいたはずなのに、呼称が急に変わった。

「パパがいないクリスマスは嫌!」

我が儘で甘えん坊の駄々っ子のように。

「なんでパパはいなくなるの? クリスマスになるとどこか行っちゃうの?」

「玲奈……?」

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