【完結】遺族の強い希望により
「悪い」


短く一言、亮がそう発したかと思うと、シュッと空気を切る音がした。
続いてパンッという乾いた破裂音。

部屋の中と言わず、家中、もしかしたら近所中に響き渡っていた玲奈の泣き叫ぶ声はぱたりと止んだ。


何事か、と信じられない思いで、みのりはその光景に目を見開いた。

亮と付き合っていた時には、激しい喧嘩をしたこともあった。
けれど彼は一度も、決して手を上げたことだけはなかったのに。


――ぶった。本気で。
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