【完結】遺族の強い希望により
「ずっと、こどもの頃から……物心ついた時にはもう、ね」

と、漸く落ち着きを取り戻してから、玲奈はまた話し出した。

「父には普段からほとんど泊まりの出張なんてないのに、クリスマスが近付いた頃に限って出て行ってしまったの。それが毎年ではなくて、1年置きに」

「え、それって……仕事、でしょ?」


ネットの記事を思い出す。
オーストラリアに姉妹校があって、そこへ向かっていたのではなかったか。

交換留学なのか文化交流なのか、詳しいことは何も分からないが、そういう関係にある海外の学校を定期的に訪れるのは、そんなに不思議なことではないように思えた。

たまたまその『定期』がクリスマスの時期に被ってしまったたけではないだろうか、と不思議に思うみのり同様、亮も軽く首を傾げながら話の先を促した。
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