【完結】遺族の強い希望により
「うん、いつも行先は今回と同じところ。子どもの頃はクリスマスに父がいてくれないのが凄く嫌で淋しくって、毎回泣いて駄々をこねた覚えがある……」


それを聞くと、2人は合点がいったように頷いた。
さっきの幼い子どものような玲奈は、一時的にその時に逆行していたのかもしれない。


「勿論分かってたのよ、仕事だって。だから仕方ないって。小学校の途中くらいからは気にならなくなってた。ああ今年はお父さんがいない年なのかって……。けど、ね」


静かに話を聞いていたみのりは、嫌なタイミングで差し込まれた逆説に眉をしかめた。
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