【完結】遺族の強い希望により
その重苦しい沈黙を破ったのは、外からドアをノックする音だった。


「玲奈――、開けていい?」

「お母さん!?」


ドア越しのそのやり取りに、みのりと亮ははっとして顔を見合わせた。

全く気配がなかったからすっかり居ないもののように油断していたけれど、玲奈の母親は留守だったわけではない。
玲奈は最初に、確かに『母が寝ている』と言っていた。


みのりが咄嗟にノートを缶に戻すと、亮がそれに素早く蓋をした。
あんなところに隠してあったのだ、他人が勝手に持ち出して中を見たと知ったら。
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