【完結】遺族の強い希望により
――だとしたら……。


みのりは、亮がなんとかクッションの下に隠した缶をちらりと見やった。
端がはみ出ているし、座布団代わりのクッションなのに上に座るでもなく両手で押さえつけているのも違和感だらけだ。
すぐに見つかってしまうだろう。


しかし、目が覚めていれば階下に降りる気配には当然気付かれたはずだ。
会話はどれだけ漏れ聞こえたのだろうか。
玲奈の母は、この缶がここにあることを既に知っているのかもしれない。


それで、中を見ないよう止めに来たのだろうか。
泥棒のように人の家を勝手に漁ったことも含めて、怒られる覚悟を決めた。
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