【短編】 過多想い


「あっ…もう帰るか?」



いつもと同じ時間

いつもと同じ台詞





まだ帰りたくない


でも、帰れって言われるのが怖くて

言えないよ


『…うん』



帰りはいつも送ってくれる


その優しさに

愛されてるんじゃないかって錯覚する



そんな事あるはずないのにね



クスッ



可笑しくて…悲しくて思わず笑った



「何?」


『ううん
 何でもない』


不思議そうな陽大の顔





『ねぇ?あそこ寄らない?』



私が言うと時々寄ってくれる噴水がある公園



「じゃあちょっとだけな」



いつもそう言って

本当に短時間しか寄ってくれない


寂しいよ



『陽大は私といて楽しい?』


「はっ?」

かなり驚いた陽大


『ううん
 何でもない』


否定されそうで

言葉を消し去った


『今日はありがとうね
 もう近いからここまでで良いよ』



「えっ?」



『また明日ね』


今…笑顔を出さなきゃ泣きそう


走って家まで向かう間に

私の瞳からは涙が零れてた


好きなのは私1人


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