【完結】bitter step!
――彼が笑っているのに、ここでボクが暗くなるのは間違いだ。


「こっちこそ、プリン、ありがとうございます」

さっき言いそびれたお礼を言うと、先輩は食べ終わったゴミをまとめながら柔らかく微笑んだ。


なんだかんだでボク、奢られっぱなしだな。
……まあ、美紗も純平もなんだけど。
てか純平は、受け取る時くらいフリだけでもいいからもうちょっと遠慮して欲しい(こっちが恥ずかしい)。


結局、先輩は自分で買ってきた缶コーヒーを隠したまま、いつの間にかカバンにしまってしまったみたいだった。

その優しさが先輩本来のものなのか、……ボクの為なのかは、まだ、よく分からない。
< 120 / 707 >

この作品をシェア

pagetop