【完結】bitter step!
喉が、渇く。
チョコレートの甘い匂いが充満した売り場は、吐き気を誘う。

頭が重い。
視界が、暗い。


ねえ、本当は、美紗は――、
美紗と、純平は。


ボクが、鈍くなった頭をフル回転させて、覚悟を決めて問いただそうとした時。


「純平にあげるのに、生徒会長にあげなかったら可哀想ね」

当たり前のように言った美紗の言葉が、ボクの口から出かかった言葉を封じた。


聞き間違いかと思った。
なんで今、響先輩が出てきた?
美紗の中ではいつから、純平と先輩が同列に並ぶようになったの?


――美紗が何を考えているのか、こんなに分からなくなったのは初めてかもしれない。
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