【完結】bitter step!
マフラーをぐるぐる巻きにして、モッズコートを着込み、ニットのキャップを深くかぶる。
完全防備となってボクを睨み返してきたソイツに向かって、思わず吐き出す言葉。


「お前、ホント男らしいな」


瞬間、右頬の肉が痙攣したように引きつった。
それが鏡の中のボクのものなのか、こっち側のボクのものなのかは、よく分からないけど。


「……上手いモン、作ろ」

わざと、声に出した。


そうだ、どうせ作るんなら、せめて馬鹿にされない程度のモノを。
できるなら、見た目も味もいいモノを。


――まあ、高望みはしねえ。
そこそこでいい、食えれば。


……昨日のザマじゃ、それも怪しいワケだけど。
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