【完結】bitter step!
母はふうん、とつまらなそうに言うと、ジュースのグラスを2つ机に置いて去って行った。

帰ってきた時に机の上は山積みになったはずなのに、障害物をどかすことなく見事に隙間に置いた母さんはある意味さすがだ。

きっと「片付けなさい」なんて言うこと自体をめんどくさいと思っているに違いなく、かと言って、勝手にボクの部屋を片付けたりすることもない。
万一隙間が見つからなければ、平気でニット帽の上にグラスを置く暴挙に出るだろう。

それでジュースがこぼれたりしたら、その時になってようやくしたり顔で言うのだ。
嫌なら机の上は整理すれば、と。


純平が手慣れた様子でベッドの下から折れ脚のミニテーブルを引き出し、4本の脚を順に立てていく。
部屋の中央にそれが置かれるのを待って、ボクはグラスを机からそっちに移動した。

さっきまで凶器だったクッションを座布団に、ベッドを背もたれにして、並んで座る。

なんとなしに「乾杯」と言い合ってオレンジジュースを一口飲んだ後、「お前」とまた純平が何か言い出した。


「何?」

「……意外と元気じゃねえか」
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