【完結】bitter step!
ダイニングテーブルに着いて、母と2人でクッキーをつまんだ。

母が淹れてくれたのはコーヒーでも紅茶でもなく日本茶で(しかも湯呑じゃなくてマグカップだ)、あんまりお洒落じゃないあたりは我が家っぽくて逆にいい。
気取らない感じは、妙に落ち着く。


「あんたの不器用なとこは、母さん似ね」

と、全然喜ばしくないことを母さんは何故か嬉しそうにのたまった。


そう言えば母さんもそんなに料理が得意ではない。

レパートリーも少ないし、時折味付けが濃すぎたり、たまには黒焦げの物体を食卓に並べることもある。
パプリカとかゴーヤとかアボカドとか、ちょっと洒落た食材を使うこともない。
色味も変わり映えもない、地味で手がかからない料理ばかりを作る。


だけとボクは、やたらと根菜の多い田舎くさいその料理が、食べなれたヘンテコな味付けが結構好きだ。
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