【完結】bitter step!
大した用件がかかってくるような携帯ではない。

放っておいてもよかったのに、電話に気付いたのを機に

「そろそろ夕飯の買い物に行かなきゃ」

と母がカップを片付けながら立ち上がった。

なんだ、ちょっと残念。
もうちょっと母さんとお茶してたかったのに。


ボクは小皿を出して父用に3枚だけ取り分け、余ったクッキーと日本茶のお代わりを持って部屋に下がることにした。

「あんまり食べ過ぎないでよ! 夕飯入らなくなるからね」

という母の声が後ろから追いかけてくるけれど、作ってしまったものは自己責任で処理しなくては。
甘党ではない父さんに強要もできない。
多分、3枚でも多いくらいだ。


ミニテーブルを出して1人お茶会のセットを広げてから机の上に放ったままの携帯を取り、着信履歴をチェックする。


【鷺沼 響】


見慣れない表示に、一瞬息が止まった。
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